廃棄物担当になったら、最初にゴミ庫を見てほしい
紙マニフェストのA票が、目の前でゴミ箱に捨てられたことがあります。悪意ではなく、「ただの確認表だと思っていた」だけでした。新しく廃棄物担当になった人へ。契約書より先にゴミ庫を見る理由と、現場・書類・認識の3つを照合する確認手順をまとめます。
- 廃棄物管理の穴は、悪意よりも「その意味を知らないところ」にできる
- 現場・書類・認識の3つのズレを照合すると、分別ミスや契約漏れが見つかる
- まず「何を・どれくらい・どの業者へ・どのような方法で」の4点を一覧にする

紙マニフェストが、目の前で捨てられた
ある小売事業者で、発泡スチロールの定期回収を行ったときのことです。回収時に紙マニフェストを交付し、排出事業者の控えとなるA票を現場担当者へ渡しました。
ところが、そのA票がその場で捨てられたと、担当ドライバーから報告がありました。後日、先方へ確認すると、返ってきたのはこんな答えでした。
「え、保管するものなんですか。ただの確認表だと思っていました」
紙マニフェストのA票は、受け取って終わりではありません。排出事業者が5年間保存し、後から返送されるB2票、D票、E票と照合して、運搬や処分が終わったことを確認するための書類です。
先方には保管義務を説明し、その後は専用ファイルと保管場所を用意して、5年間保存する運用に変えてもらいました。

担当者だけを責めても、たぶん解決しない
この担当者に、法律を破ろうという意図があったわけではないと思います。現場では、マニフェストが「回収時にサインして返される紙」としか伝わっていなかったのでしょう。
本部では契約やルールを把握していても、実際に廃棄物を引き渡す店舗まで、その意味が伝わっているとは限りません。
そして、これは排出事業者だけの問題でもありません。処理業者側も、マニフェストを渡すだけでなく、「これは排出事業者の控えです。捨てずに5年間保管してください」と説明し、管理できているか確認する必要があります。
廃棄物管理の穴は、悪意よりも「その意味を知らないところ」にできる。私はこの出来事から、そう感じました。
そもそも産業廃棄物とは?
産業廃棄物とは、事業活動から生じた廃棄物のうち、法令で定められた20種類のものです。廃プラスチック類、金属くず、汚泥、廃油などが含まれます。紙くず、木くず、動植物性残さなどは、排出した業種によって区分が変わります。
会社や店舗から出たごみが、すべて産業廃棄物になるわけではありません。例えば、一般的なオフィスの紙ごみや飲食店の生ごみは、通常、事業系一般廃棄物として扱われます。
詳しい20種類の区分は、関連記事の早見表で扱っています。まずは、自社から何が出ているかを知るところから始めれば大丈夫です。
廃棄物管理は、3つのズレを見る
私が廃棄物の管理状況を確認するときは、次の3つを見ます。この3つが一致していないところに、分別ミスや契約漏れ、余計な処理費用が出やすくなります。
| 見る場所 | 確認すること |
|---|---|
| 現場 | ゴミ庫には、実際に何が捨てられているか |
| 書類 | 契約書、許可証、マニフェストには、何をどのように処理すると書かれているか |
| 認識 | 現場担当者は、分別方法や委託先、マニフェストの意味を理解しているか |

行く前に書類を見る
ここからは、私が現場で確認する順番です。全体は「行く前に見る→現場を見る→担当者に聞く→書類と照合する」の4段階で進めます。
まず、現在の委託契約書、処理業者の許可証、マニフェスト、過去の排出量を確認します。自治体によって一般廃棄物の分別や排出方法が異なるため、事業所所在地の分別表も見ておきます。

ゴミ庫を見る
産業廃棄物の保管場所には、原則として縦・横それぞれ60cm以上の掲示板を設け、廃棄物の種類や管理者の連絡先などを表示します。必要な記載事項は保管方法によって変わるため、管轄自治体の案内も確認します。
- どんな廃棄物が出ているか
- 品目ごとに分別されているか
- 容器が廃棄物に合っているか
- POPや掲示で捨て方が伝わるか
- 分別先が分からないものが放置されていないか
- 保管場所の囲いや掲示板があるか
現場担当者に聞く
現場担当者には、何をどの業者へ渡し、どこでどう処理しているかを聞きます。排出量、回収頻度、分別に迷ったときの確認先、契約書やマニフェストの保管場所も確認します。
分からないこと自体が問題なのではありません。誰も分からないまま、以前からの方法を続けていることが危険です。
現場と書類を照合する
最後に、実際の廃棄物と書類を照らし合わせます。
産業廃棄物の処理を委託しても、排出事業者の責任がなくなるわけではありません。自社の廃棄物がどこへ運ばれ、どう処理されるかを把握する必要があります。
- 回収品目が契約書に載っているか
- 委託先の許可品目に含まれているか
- 許可証の期限が切れていないか
- 契約した業者と実際の回収業者が同じか
- 紙または電子マニフェストを確認できるか
- 説明された処理フローと記録が合っているか
一つでも当てはまったら、一度整理してみる
最初から完璧な管理表を作る必要はありません。まず、何を、どれくらい、どの業者へ、どのような方法で出しているか。この4点を一覧にするだけでも、自社の状況はかなり見えてきます。
たかがごみ、されどごみ。
新しく廃棄物担当になったら、契約書だけでなく、まず一度ゴミ庫を見てみてください。
- ゴミ庫に分別先の分からないものがたまっている
- 捨てる人によって分別方法が違う
- 回収後の処分先を説明できない
- 契約書が見つからない
- 許可証が古いままになっている
- 実際の回収品目が契約書に載っていない
- 委託処理なのにマニフェストを確認できない
- 業者にすべて任せ、社内で把握している人がいない
一次情報・確認先
最終確認日:2026年7月26日個別案件の法的区分、許可の適合、受入可否、料金は地域と条件で異なります。所管行政、契約先、専門家へご確認ください。