産廃の分別で処理費は下がる?損得の分かれ目を計算で見る
「もっと細かく分けたら安くなりますよね」とよく聞かれます。基本は安くなります。ただ、きちんと分けたのに請求が上がる逆転も、現場では普通に起きます。品目ごとの値段の順番と、分別にかかる見えないコストを並べて、自社はどこまで分けたら得なのかを決められるように整理します。
- 処理費は「有価物 → 一般廃棄物 → 産業廃棄物」の順に高くなりやすい
- 紙とプラを分けると、プラだけ産業廃棄物になって高くなる逆転が起きる
- 混合廃棄物の料金は、業者に払う「分別の手間賃」。自社でやるか払うかの選択

先に結論:分別は「えらいか」ではなく「得か」で決める
分別を増やせば処理費が下がる、とは限りません。判断するときは、①その品目が分けた先で本当に安い区分になるか、②分ける手間と保管場所と回収回数の増加分、③その分別を現場が続けられるか、の3つを一緒に見ます。
分別の目的が法令上の義務なのか、コスト削減なのかも分けて考えてください。廃プラスチック類のように、コストに関係なく分けることが原則の品目があります。
- 品目ごとの区分(有価物・一般廃棄物・産業廃棄物)を確認した
- 分ける作業時間と保管場所を数えた
- 回収頻度と車両が増えないか確認した
ゴミには値段の順番がある
会社から出るものは、大きく3つに分かれます。地味に大事なのは、この3つで単価の高さが違うことです。分別とは、この値段の階段を安い側へ振り分ける作業だと考えると分かりやすくなります。
| 区分 | 主な例 | 費用の向き |
|---|---|---|
| 有価物(資源物) | きれいな金属くず、段ボール、アルミなど | 買い取りで収入になることがある |
| 事業系一般廃棄物 | 産業廃棄物に当たらない事業所のごみ | 産業廃棄物より安いことが多い |
| 産業廃棄物 | 廃プラスチック類、金属くず、木くずなど | 3つの中では高くつきやすい |

紙とプラを分けると、プラだけ高くなる
可燃ごみの中身は、多くが紙とプラスチックです。「分ければ安くなる」と思って分けると、次のことが起きます。
紙は、古紙として資源に回せれば安くなります。ただし会社から出る紙くずは、建設業や製造業など指定された業種から出た場合に産業廃棄物になり、それ以外は事業系一般廃棄物です。一方、廃プラスチック類は業種を問わず産業廃棄物です。つまり、分けたことでプラの分だけ単価が上がります。
さらに、品目が増えると別の車で回収することになり、運搬費が乗ることもあります。

「では混ぜればいい」にはしない
逆転が起きるからといって、廃プラスチック類を可燃ごみへ混ぜてよいわけではありません。原則は産業廃棄物として分けます。
市町村の裁量で事業系のごみを受け入れる運用があり、これまで可燃ごみとして通ってきた地域もあります。ただし、プラスチックを資源として循環させる国の方針もあり、取り扱いを見直す自治体が出ています。**安いかどうかより先に、自社の所在地のルールを確認してください。**
産業廃棄物どうしなら、分けたほうが安い
逆転の話をしましたが、産業廃棄物どうしで比べれば、基本は分けたほうが安くなります。混ざったごみが1,000kg出た場合で並べます。
以下の単価はあくまで一例です。地域、品目、市況、業者によって変わります。
| 出し方 | 内訳 | 金額の例 |
|---|---|---|
| 混合廃棄物のまま | 60円/kg × 1,000kg | 60,000円 |
| 分けた場合:廃プラ | 40円/kg × 400kg | 16,000円 |
| 分けた場合:木くず | 15円/kg × 300kg | 4,500円 |
| 分けた場合:金属くず | 有価物として5円/kg × 200kg | −1,000円(収入) |
| 分けた場合:紙くず | 0円 × 100kg | 0円 |
| 分けた場合の合計 | — | 19,500円 |

見えない手間を引いて、はじめて損得が出る
さきほどの計算には、まだ足りないものがあります。分別には、請求書に出てこないコストがかかります。
いちばん怖いのは最後の項目です。分別が中途半端だと「混ざっているので回収できません」と断られたり、結局は混合の料金になったりします。手間だけかけて金額は同じ、が最も損なパターンです。
- 分ける作業にかかる人の時間
- 品目ごとの保管スペース
- 回収頻度と車両の増加
- 分けた先が本当に安い区分か
- 一回でまとまった量を出せるか
- 現場がその分別を続けられるか
「金属だけ買ってください」が得とは限らない
現場でよく言われるのが「お金になる金属だけ買い取ってほしい」です。実際に計算すると、抜き出す手間とコストを考えれば混ぜたまま出したほうが安い、とご案内することがあります。
ここがこの記事でいちばん大事なところです。**混合廃棄物の料金は、業者が代わりに分別する手間賃です。** 自社で分ければその手間賃は浮きますが、手間そのものは自社が背負います。分別の損得とは、突き詰めれば「分ける手間を自分でやるか、お金で払うか」の選択です。
一次情報・確認先
最終確認日:2026年7月26日個別案件の法的区分、許可の適合、受入可否、料金は地域と条件で異なります。所管行政、契約先、専門家へご確認ください。